こんばんは。
今回取りあげるのは、今話題沸騰中の藤原竜也主演のドラマ「リバース」でございます。
ミスリードを警戒しつつも、今自分のこの考えこそ作者に操作されているのではないか?と疑心暗鬼になりながら視聴している方も多いと思います。
「一体誰が犯人なのか」一度そう考えてしまうと、キャストの笑顔もまっすぐな感情では見れなくなってしまいますね…
さてさて、そんな悪魔的な魅力がある「リバース」ですが、展開が気になりすぎて原作を読んでしまいました。拍手!←
ということで今回は、『原作のリバース』での内容の解説と感想をつらつらと書いていきます。
既に読み終わっている人、私の様にドラマのラストまで待ちきれない!という人はぜひお読みください(笑)
後半はネタバレ注意です!
物語のあらすじ
与えられた「人殺し」の烙印 手紙の差出人は…
http://www.tbs.co.jp/reverse_tbs/
主人公・深瀬 和久 (藤原 竜也)は、ニシダ事務機器株式会社に務めるごく普通のサラリーマンだった。
コーヒーが趣味である深瀬は、行きつけのコーヒー専門店「クローバー・コーヒー」で、越智 美穂子(戸田 恵梨香)と付き合うようになった。
ある日、美穂子から「勤務先に、こんな手紙が届いた」と手紙を見せられることから物語は始まる。
そこには、「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた。驚く深瀬だったが、彼には心当たりがあった。大学時代のある事件について、美穂子に語り始める。
ゼミ旅行で起こった悲しい事件
3年前、大学のゼミ仲間とともに、深瀬は高原に旅行に行くことになった。
言い出したのは村井 隆明(三浦 貴大)。その他、広沢 由樹(小池 徹平)、浅見康介(玉森 裕太)、谷原 康生(市原 隼人)の全部で5名のメンバーだった。
しかし、肝心の村井が前日に交通事故を起こしてしまう。その処理のために遅れてしまった村井は、雨でタクシーも混んでいるからと友人に駅までの迎えを頼んだ。
既に深瀬以外の3人は酒を飲んでしまっており、深瀬は免許を持っていない。3人の押し付け合いになったが、結局広沢が迎えに行くことになった。
深瀬は自分が引き留めるべきだと思ったが、周りの空気から言い出せなかった。せめて眠気覚ましをと、高原で採れたという蜂蜜入りのコーヒーを広沢に渡した。
その後、車は崖から転落。広沢は死亡してしまった。
伏せられた真実とその後
彼の飲酒は、3人によって伏せられた。雨という当日の天候や、広沢の運転歴の浅さから単なる事故死として処理された。
しかし心のどこかでは、広沢の死に自身らが本当は関わっているという後ろめたさを感じていた。深瀬は、美穂子に正直に打ち明け、そのことを懺悔する。
深瀬はしばらく彼女には会うことができなかった。しかしそんな中で、一緒に旅行をした3人にも美穂子に送られたのと同様の手紙が送られていたことを知る。
さらに、谷原は酔った帰宅途中に駅のホームから何者かに突き落とされるという事件も起こった。
そのことから、深瀬は村井や浅見らと会い、「広沢の死の真相を知る誰かが、一連の事を引き起こしているのでは」と考える。深瀬は、広沢の地元で調査を行い、その中で、広沢には彼女がいたことを知る。
絶望の淵へ 明らかになる更なる真実
それは・・・自分の交際相手、《美穂子》だった。
深瀬は、「クローバー・コーヒー」で美穂子を問いただす。すると、美穂子は「皆が何事も無かったように暮らしているのが悔しかった。
彼の事を思い出させようと思った」と明かした。美穂子は広沢の死の真相を知らなかったが、深瀬が明かしてしまったのだった。2人は語り合い、広沢の死を悼んだ。
和やかになった2人は、コーヒーを注文する。マスターは砂糖の代わりに、と、数種類の蜂蜜を用意してくれた。
その中で、深瀬は旅先で購入した蜂蜜に似たものを見つける。そして、その蜂蜜の正体を知って愕然とした。
その蜂蜜は、《蕎麦の蜂蜜》であるという。そして明らかになった、広沢が強烈な蕎麦アレルギーだったという真実。
広沢を殺したのは・・・俺だったのか
アレルギーである蕎麦を摂取してしまった彼が、運転中どれほど苦しみ悶えたかは言うまでもない。まして酒気を帯びた状態、まともに運転できるはずもなく…
深瀬が、広沢を殺したのは自分自身だと気づいて物語は終幕する。
絶望の感想
「さすが、湊かなえ。」それが読み終わった最初の感想でした。
他の小説も読んでいますが、結末がとってもいや~な感じですよね。心がすっきりしません。救いの無い終わり方、さすがです。
この後深瀬と美穂子は別れなければいけないと思いますし、深瀬は広沢の死の真実を自分の中に閉じ込めていくのでしょう。美穂子には話せませんよね。せっかくずっと隠していた〈広沢の飲酒〉の事実を美穂子に打ち明け、過去を清算できたのに・・・
その事実が、深瀬と美穂子の関係をより深いものにできたはずだったのに・・・2人の未来をいろいろと想像してしまいました。
毎回このような結末だと分かっているのに読んでしまう。
「きっとどんでん返しがあるのだろう、だって湊かなえだし。」こう思いながら読んでいても、結局びっくりさせられてしまう。これが湊かなえの面白さかなと思います。
それに、大学時代の友人4人の心理描写も非常に繊細でした。それぞれのキャラクターが事件をどう消化しているのかということも透けて見えます。それが物語を一層立体的にしていますね。
嫌な記憶をどのように捉えるかということに、その人の性質が出るのだと思います。それに、頼まれると断ることができない広沢。人に対して気を遣ってしまう性格でなければ、〈自分は蕎麦アレルギーだ〉と開示することができて、こんな悲しい結末にはならなかったのではないでしょうか。
さて、「深瀬和久は人殺しだ」という謎の手紙から始まる物語。
私たち読者は〈この手紙を送った犯人は誰なんだろう〉という視点で素人なりに推理をしながら読み進めていきます。その後様々な伏線がありますが、その犯人が美穂子であるということも一つ驚きのポイントではありますよね。
広沢と美穂子の関係性にもなかなか気づくことはできません。ただ、この読み方はそもそもミスリード。結局、本当に「深瀬和久は人殺しだ」ったわけです。「深瀬は人殺しではない」という読者のそもそもの思い込みが最後に〈リバース(反転)〉されるわけですね。
面白いですが、悪寒が走りました…
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