ごだいぶろぐ 絶対大丈夫じゃないSEのぼやき

頭が封印解除しているシステムエンジニアのブログです。カードキャプターさくら クリアカード編の感想記事を定期更新中

【二次創作】ほえええ!? 久々に再会した小狼君が結構パワー系だったよぉ!!編 第3話

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クリアカード編の二次創作。本編の箸休め。原作とはちょっぴり成長のベクトルが異なった小狼くんの登場により、超進化(?)した友枝町を書きなぐっていきます。苦手な人はご遠慮下さいまし。

 

▼前回

 

 

ささくれている畳。

異様に建てつけが悪い引き戸。

吹き込む隙間風。

雨漏りによってできた天井のシミ。

 

コーポ友枝はいわゆる”ボロアパート”だった。

 

比較的に新しい建物が並ぶ友枝町において、全くもって町の景観に合わないそのアパートは、一部のアンティーク好きを引き寄せていた。

 

柊沢エリオルもその1人だった。

 

李小狼の説得により半ば無理矢理日本に連れてこられた彼だったが、アンティーク好きの血が疼いたのか、このアパートを新たな拠点することについては前向きだった。

 

 

 エリオル

「修繕を繰り返しながらも敢えてその名残を留める…これこそ日本の伝統美。分かるかいスピネル。」

 

 

四畳半の部屋に不釣り合いな巨大な椅子に座り、傍にいた自らの守護獣・スピネルに尋ねる。

 

当のスピネルは不機嫌な様子。

 

 

スピネル

「これ…私が真の姿に戻ったら動けなくなるのでは…

私はあまり好きではありません。なんだか臭いも変ですし。」

 

 

エリオル
「ふふ、外で寝たいのかスピネル」

 

 

スピネル
「脅さないで下さいよ…」

 


「ねーねー!さくらちゃんたちピンチっぽいよー!」

 

 

四畳半の部屋に不釣り合いなものその2。

 

畳の床に直置きされたモニターに映るさくらと小狼の様子を見て、ルビー・ムーンこと秋月奈久留ははしゃいでいる。

 

 

奈久留
「そういえば小狼は何でノースリーブなの!?寒くないの!?」

「てか真昼間から部屋にこもって中学生カップルのデート覗くなんて、エリオルほんとキモいねー!」

「よっ!この引きこもり根暗大臣!」

 

 

自分の主人に容赦なく罵詈雑言をぶつける奈久留。

 

 

エリオル
「ふふ、殺されたいのかルビームーン」

 

 

奈久留
「キモいは言い過ぎだよスッピー」

 

 

スピネル
「なぜ私が…」

 

 

エリオル
「別に覗き見している訳じゃない。さくらさんの魔力の暴走は、私としても看過できないからな。

 

 

断じて小狼があたふたするところを見たい訳じゃない。」

 

 

奈久留・スピネル
(性格わっるー…)

 

 

エリオル
「さあ、2人が困る前にさっさと片付けてしまおうか。もっとも、今の彼なら私の助けなどいらないだろうがね。」

 

 

スピネル
「ちょっ!?!?こんな狭い部屋で杖を大きくしない…

 

 

封印解除したエリオルの杖の先端に貫かれそうになったスピネル。

 

その様子を見て、奈久留の笑い声は一層大きくなった。

 


—————————————————

 

一方のさくらと小狼は、まさに目の前の脅威と対峙しているところだった。

 

植物園でのデート、そんな和んだ雰囲気から一転したこともあり、不意を突かれたさくらは螺旋状の物体が覆いつくされてしまう。

 

 

さくら
「閉じ込められた!?」

 

 

あまりにも無機質な空間。

 

小狼と分断されてしまったさくらは目の前の壁を叩いてみるも、ビクともしない。

 

 

さくら
「どうしよう…」

 

一方の小狼はというと、手のひらから剣を

 

 

 

出していなかった。


自らの魔力で強化した拳でひたすら、さくらを閉じ込めている物体をひたすら殴りつけていた。

 

齢十と二ながら彼が辿り着いた「武」の本領とは、得物を振るうことにあらず、自らの肉体を行使するもの。

 

何に影響されたのか彼のその思考は、幼少の頃より鍛えていた徒手格闘術の技量も大きく向上させた。

 

過ぐる日、母国の香港にて従妹の少女に「いつからそんなゴリラになっちゃったの」と呆れらるが、それはまた別の話。

 

とにかく連打。

 

連打連打連打連打。

 

機械的な拳のドラムロール。

 

低く鈍い音がさくらの耳にまで伝わってくるが、目の前のそれを破壊するには至らなかった。

 


さくら
「しゃ、小狼くん何してるの…!?もしかして外からこれを叩いてるの!?」

 

 

小狼
「…! ああ!だがダメだ、ビクともしない!」

 


声を張って内と外でやりとりをする2人。

 

 

小狼
「このままじゃ埒があかない!早速で悪いが、さくらから移したカードの力を使わせてもらう!」

 

 

さくら
「そ、そっか!殴ってばかりじゃダメそうだもんね!『ウィンディ』とか『ウォーティ』を試してみても…」

 

 

小狼
「ああ!『パワー』で俺の力を強化して『ファイト』で打撃の回転数を上げてみる!」

 

 

さくら
「あ、うん…」

 

 

そういうことじゃない気がする、そんな思考をさくらの頭をよぎった次の瞬間、
快晴の空から一筋の閃光が降り注いだ。

 

それは2人の間を遮る物体に直撃し、遅れてやってきたけたたましい轟音が辺りに響いた。

 

閃光の正体は雷。


そしてその雷の正体は、1人の魔術師がデート中の中学生を救うべく施した魔法だった。

 


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机の肘掛けに頬杖をついている当の魔術師。

 

 

エリオル
「少し強すぎたかな?」

 

 

奈久留・スピネル
(穏やかな植物園に雷落としやがった…)

 

 

——————————


杖を両手に抱えたまま、ぽかんと口を開けて呆然とするさくら。

 

小狼も駆け足で寄ってくる。

 

 

さくら
「なんだったんだろう。今の雷…」

 


小狼
「ああ、これは…」

 

 

 

 

 

 

 

「さっぱり分からない…なんか異常気象がいい感じに雷になってすごいアレになったんだろう」

 


さくら
「そ、そっかあ。当たらなくてよかった…!とりあえず固着しちゃうね。」

 

これまで自分の身の周りで信じられない様な出来事が起こり続けてきたさくら。

 

最近のそれは、原因は自分の魔力によるものと分かっていながらも、今回の様にいつの間にか解決しているというケースは多かった。

 

突発的な出来事に驚きはするが、容易に手元に残る魔力が込められた透明なカード。
紛れもなく自分が創り出したカード。

 

「SPIRAL-螺旋-」と記されたカードを手にし、さくらはふと疑問に思った。


突風によって吹き飛ばされた弁当箱やレジャーシートを片付けながら、何気なく尋ねてみる。

 

 

さくら
「小狼くん。その…私ちょっと気になっていたんだけど…」

 

 

小狼
「サラダチキンの作り方か?」

 

 

さくら
「違うの。クロウカードのときは集める枚数が決まっていたし、さくらカードのときも変える枚数が決まっていたけど、私のこのカードって…その…いつまで集め続けるのかなぁ、なんて…」

 


小狼
「それは…

 

 

 

 

 

 


確かに。ただ、火がついた様に泣く小さな子供もいつかは泣き止む。さくらの魔力もいつか落ち着くだろう。心配するな。」

 


さくら
「そ、そうだよね!いつか終わるよね!」
(ほええ…例えがよく分からないよぉ…)

 

(でも…)


いつまでカードを集め続けなくてはいけないのかー

 

まるで終わりの見えないマラソンの様な状況に困惑するも、あまりにも堂々と振る舞う恋人を見て、謎の安心感を覚えるさくら。

 

往往にして根拠のない自信は他人を不安にさせることがあるが、それは赤の他人の場合。

 

自分が信頼している人物の発言となればそれは別。

 

他ならぬ自分の恋人が、小狼が言うのであれば「絶対大丈夫」という気持ちがさくらの安心感の源だった。

 

間も無くして散乱したものを一通り片付けた2人。

 

 

さくら
「せっかくの…デ、デートだったのにね…」

 

 

恥ずかしながら、それでいて少し残念そうな表情で呟くさくら。

 

 

小狼
「そうだな…じゃあ次はどこへ行く?」

 

 

さくら
「…え?」

 

 

小狼
「ここからなら水族館も近いな…少し混んでいると思うけど、このまま行かないか。」

 

 

てっきりお開きかと思っていた今日のデート。

 

思いがけない彼からの延長申請。エクストラステージ。

 

 

さくら
「…うん!行く!行こう!」

 

 

残念そうな表情から一転してぱぁあと明るい表情を見せるさくら。

 

後に自分の兄のアルバイトの勤務先が該当の水族館であることを知ることになる。

 

そして時を同じくして、偶然にもクラスメイトである詩之本秋穂とその執事、ユナD海渡もその施設を訪れていた。

 

キーマンたちの遭遇は避けられない。

 

(続くかもしれない。)